駅前のカフェに入り、正義の話を聞いた。
どれも初めて知ることばかりで、開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。
「それから新学期、下駄箱でアンタを待ってた。真凛のフリをした村山志真を待っていた」
「…偶然かと思ってた」
あまりに自然に近寄ってきた正義は、さりげなく真凛の下駄箱の場所を教えてくれた。
「同じクラスになったのも偶然じゃないよ。教頭に頼み込んだ」
「教頭に?」
「真凛がいじめられてるかもしれないから、俺が助けると言ったら、すんなりオッケーしてくれた。学校側だってイジメを無視することはできないだろ」
「……真凛と約束したから留年したって、言ってたけど…」
「真凛とアンタを助けると約束したからね」
メロンソーダを飲み干し、お代わりを注文する正義を凝視する。
違和感なんて感じなかった。
正義は最初から今日まで、普通に私に接してくれていた。
「私、本当に何も知らなかったんだね」