少し残念そうな実沙の表情から本当に北条を想っていることが伝わってくる。



「今日は実沙が無理みたいだから、うちらはどうする?」



実沙がいないときも一緒に放課後を過ごすような彩乃と美雨と優奈は本当に仲がいい。



「う~ん、実沙を追跡!実沙と北条の幼馴染みってやつが気になるし。」



「美雨、それはやめようよ。美沙を邪魔したら悪いよ。」



「じゃあ、旭に着いて行ったらダメなのかな?旭が最近なにをしてるか知りたいし」



ヤバい。今日の放課後は陸斗のところに行こうと思ってたんだけど優奈たちを連れて行ったら機嫌悪くするよね?



どこか、優奈たちを連れて行ってもいいようなところを探さないと…。



あたしがそんなことを考えているとふと、ひとつのいい場所が思い浮かんだ。



「いいよ。今日は優奈たちに付き合う日にしよう。」



あたしはそう言いながらスマホを見せて陸斗にメッセージを打つ。



――ごめん、今日は行けない。――



そんなメッセージを打つと、ふと頭にあの日陸斗が短調のメロディーを聴いた日のことを思い出してしまう。



「ねえ、アスメグ。どうして、ダーリンのところには連れて行ってくれないの?」