「それとも、俺がこの曲で一番好きな部分やってみる?」
優月くんはそう言ってオルガンに向かい優月くんの好きだと言ったところを弾き始める。
短調。
「ここなら、俺もよくわかるし教えやすいんだ。」
あたしはどうしてピアノなんかを毎朝やり始めたんだろう。
陸斗はイ短調が大嫌いで、あたしがピアノを始めた理由が陸斗のためなら踏み込んではいけない領域。
「和音、やってみます。だから、短調のところは…」
今はやめておいていても、いずれはこの部分をやるときがくる。いつか、陸斗があたしの前からいなくなってしまう時が来る。
そんなことはわかっている。
でも、今は陸斗がいなくなったときのことなんか想像できないんだ。
だから、少しでも伸ばすことができるのならイ短調は後回しにしたい。
「わかった。じゃあ、今日も手本弾くからよく聴いててね。」
和音のよくわからないあたしは和音と言うものを知るために優月くんの指の動きをジッと見る。
優月くんは軽々と沢山の音を鳴らしているけれど、あたしのこの小さな手でもできるのだろうか。
あたしが自分の手をじっと見つめているとあたしの手がもう悲鳴を挙げていることを知らされる。
でも、やるしかない。
優月くんはそう言ってオルガンに向かい優月くんの好きだと言ったところを弾き始める。
短調。
「ここなら、俺もよくわかるし教えやすいんだ。」
あたしはどうしてピアノなんかを毎朝やり始めたんだろう。
陸斗はイ短調が大嫌いで、あたしがピアノを始めた理由が陸斗のためなら踏み込んではいけない領域。
「和音、やってみます。だから、短調のところは…」
今はやめておいていても、いずれはこの部分をやるときがくる。いつか、陸斗があたしの前からいなくなってしまう時が来る。
そんなことはわかっている。
でも、今は陸斗がいなくなったときのことなんか想像できないんだ。
だから、少しでも伸ばすことができるのならイ短調は後回しにしたい。
「わかった。じゃあ、今日も手本弾くからよく聴いててね。」
和音のよくわからないあたしは和音と言うものを知るために優月くんの指の動きをジッと見る。
優月くんは軽々と沢山の音を鳴らしているけれど、あたしのこの小さな手でもできるのだろうか。
あたしが自分の手をじっと見つめているとあたしの手がもう悲鳴を挙げていることを知らされる。
でも、やるしかない。



