傘に入れてくれますか？

ふぁぁぁ～。



７時３０分までに登校とかきついなぁ～。



あくびをしながら、あたしは旧校舎のオルガンがある教室に向かっていた。



別に、あの部屋にはオルガンというものがあるわけだし時間通り行かなくても優月くんは怒ったりしないと思う。



約束の時間通りにあたしが向かうのは本気で陸斗に沢山の色を伝えるためで万が一にも優月くんがあたしにピアノを教えてくれなかったという恐怖からだ。



まずは意思をしっかりと優月くんに見せなければいけない。



頬をバシッと叩いてあたしは旧校舎のオルガンがある部屋に入った。



「おぉ～、時間通りに来るとは本当に陸斗のことが好きなんだね。」



にこやかにあたしのことを出迎えてくれる優月くん。



「朝が早すぎて辛かったけど頑張りました。」



あたしが素直に言うと優月くんはおかしそうに笑いだす。



「恵美ちゃんって、面白いね。あれ、冗談だったのに。でも本気が伝わってきたよ。」



そう言って優月くんは誰もが知っているキラキラ星の楽譜をあたしに渡してくれる。