しかし、図書室には陸斗の姿はない。


それどころか、あたしの今いる図書室には空を見上げることができそうな窓すら見当たらない。


陸斗…どこにいるの。


――ガラッ


誰かが入ってくるような音が聞こえた。


あたしは反射的に身を机の陰に隠す。


「旭ちゃん。ここにいるんですよね?」


バレてる?どうして…


ここは大人しく出て行くことしかできないと思いあたしはそっと机の下から出た。


「いたいた。陸斗からのメモ書き見てもしかしたらと思ってここに来たんだ。」


あたしのことを探して来てくれたのはあたしの隣の席に座る男子だった。


「そうなんだよね。でも、ここには陸斗いないみたい。どこ行っちゃったのかなぁ。」


「旭ちゃん、知ってる?旧校舎の図書室。ガラス張りになっていて空がきれいに見えるんだって。地学部の先輩が言ってた。」


名前はわからないけれど、その男子は言った。


「ありがとう。陸斗、そこにいるかも。」


あたしはその男子に微笑んで図書室を出て、旧校舎へ向かった。