傘に入れてくれますか?

「よっしゃぁ。誰か引っ掛かったぞ。」


クラス中が大騒ぎで、あたしは笑われ者で本当に恥ずかしい。


でも、その騒ぎは一瞬にして納まって…


「すっげぇ、美人。」


そのクラスの男子は誰もが粉まみれのあたしに見とれていて、『大丈夫?』と手を差し伸べてきてくれる人もいる。


「ありがとうございます。」


あたしはその人の手を取り、目を合わせて尋ねてみる。


「あの、優月くんってどなたでしょう?」


クラスが違うためわからなくて当然だ。


あたしも名前を名乗ってないわけだしきっと不思議がっているだろう。


「あぁ、優月な。あの、楽譜が反対に一生懸命読んでいる奴だよ。バッカだよなぁ。」


彼の言葉にあたしはゆっくり優月くんへ近づいて行く。


「優月、またファンできたのか?しかも、こんな可愛い子。」


あたしを好機の目で見て、優月くんを冷やかすクラスの人たち。


「知らねぇ。こんなどじっ子、おれのピアノ聴きに来たこともねぇし誰だよオマエ。」


優月くんはあたしの想像していた人物とはかけ離れていて…。


「告白ならお断りだから帰りな。」