「おー、関心関心。来たか。」


ここまで来たのはいいけれど、あたしは今日なにをしたらいいのだろう。


「あの、陸斗…。お茶でも買ってくる?今日ここにギリギリまでずっといるんでしょ。喉乾かないのかなって…」


とにかく、今は陸斗と一緒にいたくない。


「いらね。恵美、オレから離れようとしてね?お茶会に行くとか言って帰ったら許さねぇ。」


別に変えるつもりではない。


ただ、どこかで頭を冷やしてこようと思っただけだ。


「わかったなら、そこ座れ。」


陸斗は真っ白なキャンバスを引き出しから取り出しながら椅子に座るよう促す。


多分、今日は地味な作業に付き合うことになりそうだ。


ここにあたしがいてもいなくても変わらないような気がする。


あたし陸斗の邪魔じゃないかなぁ?


ただ、無言で絵の下書きをしている陸斗。


「なあ、朝の絵どう思った。」


いきなり陸斗が話をしだすので少し肩が震えた。


陸斗の視線はキャンバスに向かっている。


これは、陸斗の独り言だから答えなくてもいいのかな?今日の授業で出された課題でもやっていよう。


あたしはバッグの中からノートを取り出し、問題を解き始める。


「おいっ、無視かよ。結構本気で聞いたんだけどな…。」


陸斗の声に前を向くと、キャンバスへ向けられていた視線があたしへと向けられている。