北条くんもあたしへ律儀に頭を下げると実沙を追いかけて行った。


氷のように固まって動けなくなってしまっていたあたしの足は解放される。


でも、このまま陸斗のところに行ってもいいのかな？


陸斗にどんな顔して会えばいいのかわからない。陸斗だけじゃない。美雨にも、優奈にも彩乃にも。家にさえどんな顔をして帰ればいいのかわからない。


そこら辺を歩いている見知らぬ生徒にさえ、どんな顔をすればいいのかわからない。


とにかく今は誰にも会いたくない。


陸斗に明日怒られるかもしれないけれど、今日は帰らせてもらおうかな。


そう考えあたしはスマホで陸斗にメッセージを送った。


――ごめんなさい。今日は帰らせていただきます――


陸斗からのメッセージはほんの数秒足らずで戻ってきた。


――用事か？用事がなくて暇なら来い。(絶対命令)――


陸斗に絶対とまでつけられたら明日はもっと凹んでいるだろう。


できれば会いたくないのだけど、明日が来るのが怖いので行くことにした。