「ははっ」


あっ、彩乃に笑われてしまった…。


彩乃が笑うことは滅多になく、彩乃がこんな風に笑ったときはいつもドキッとしてしまう。


「陸斗から買ってもらったヘアピンで興奮してたらノート写し忘れてたんでしょう。」


彩乃の言う通りあたしのノートにはなにも書かれていない。


「うん…。」


恥ずかしくて少し小さめの声で彩乃に言うと彩乃はまたおかしそうにクスクス笑う。


「ごめん。メグミと美雨が重なっちゃってさ。はい、どうぞ。美雨にしょっちゅうノート貸してるから私は大丈夫よ。ルーズリーフに書くし」


彩乃は本当に誰にでも優しい。そしてしっかり者だ。


さすが彩乃様と思ってしまうことが多いくらいに…。


でもこれ、陸斗との契約違反じゃないのかな?


あたしと陸とはカレカノとして付き合っているわけではなくて、契約上の付き合いだ。


「おやおや~?旭さんまた陸斗くんのこと考えてたんですかね。いくらうちらが女同士でも嫉妬しちゃいますよ?」


あたしの動きは一瞬停止していたのか、優奈が冷やかすように言ってくる。