授業中、陸斗があたしに着けてくれたヘアピンをいじっていた。


こんなにいじるとせっかく陸斗がつけてくれたヘアピンが落ちてしまうのはわかっている。


でも、よくわからないけど嬉しいんだ。


ヘアピンが落ちたとしても、また陸斗は着けなおしてくれるとなんとなくだけど思ってしまう。


「アスメグ朝から上機嫌だよね。ワタシ達といるときよりも。やっぱり柏木くん?」


気が付いたら授業はすでに終了していて、あたしの目の前にはいつものように変わらずニコニコと笑っている美雨の顔があった。


「まあ、そんなところかな?」


「そんなところってさ。でも、旭にうちらが知らないうちにできていたカレシのことは認めるんだ。」


優奈もあたしの背後からわざとらしく耳元でそう囁いてくる。


それより、あたし…。さっきの授業のノート写していたっけ?


もう綺麗に消されてしまった黒板を見つめながらさっきの授業のノートをパラパラとめくる。