「また雨か…。」


「最近雨の日多いよね。」


「この時期は仕方ないでしょ。梅雨だし。それより、せっかく巻いたカールが崩れる~。」


「美雨、傘持ってきてる?」


「もぉ、あるよ。彩乃ったら心配しすぎ~‼」


あたしたちは一斉に色とりどりの傘を開いて学校を出る。あたしだけかもしれないけど、少し警戒しながら…


しかし、あたしの警戒する人物の姿は見当たらない。


また美術室にこもって変わった絵でも描いてるいるんだろうか。


正直、アイツが描いた絵をあたしは見たことはないのだけど。


きっとあんなひどいことをあたしにしたやつの絵なんて、ヘンテコに決まっている。


アイツにも優しいところはあると言う人は結構いるけれど、あたしの前では優しさを見せたことは一度もない。


あたしはアイツが大嫌いだ。


「旭、聞いてる?」


アイツのことを考えていたらすっかり彩乃たちの話を無視してしまっていた。