陸斗に有無を言わさずに連れてこられたのは、あまり人の通りがないと有名な4階まで繋がっている第3階段だった。


「他人の残念話がどうした。聞いてどうする。」


陸斗の声が第3階段に響き渡る。


「実沙は他人じゃない。友達だもん。」


あたしも第3階段に響き渡る声で陸斗に言い返した。


陸斗はコクコクと一人でうなずく。


これで思い知ったか。


「じゃあ、佐藤の残念話とお前の残念話どっちがお前にとって大切なんだ?佐藤の話を聞いて同情でもするのか?恋もしたことないお前が」


――ズキンッ


どうして、どうして昨日のウソがばれてるの?あたしなにもボロ出してなかったよね?


「なにも言えないな。全部わかってるんだよ。」


あたしはもうこれ以上なにも言うことができない。


「あたしに何があったと言うの?陸斗になにがわかるの?」


弱いところを陸斗につつかれても、それでもあたしは強がった。


「へぇ、強がるんだ。オレが代わりに話してあげようか?恵美の残念話。」


聞きたくない。聞きたくない。


涙をこらえてうつむいてるあたしの想いを無視して陸斗の話が始まる。


「恵美ちゃんはあのグループの中で―――」