傘に入れてくれますか?


好きな色を聞かれているのに今の気持ちを色で表してどうするの。



「白か…。それもありだよな。」



白はあたしの本当に好きな色じゃない。



でも、陸斗はあたしの今の色を受け止めてくれた。



「恵美、もうわかったから泣くなよ。着くまで泣いててもいいけど。」



本当にどっちよ。陸斗の言葉はいつも矛盾してて答えになってないんだから。



「泣いた分だけ綺麗に見えるような絵、描いてやるよ。」



陸斗の優しい声が頭の上で響く。



陸斗はあたしの手を力強く握りしめまた歩き始めた。