陸斗の声を低さに肩に無駄な力が入ってしまう。



「まあいいや。オレ等もそろそろ行くぞ。」



陸斗の言おうとしていた言葉はなんだったんだろう。



どうして陸斗は言葉を辞めたのだろう。



疑問は残るけれど、今は気にしない方がいいのかな?



「ねえ、陸斗。あたしをどこに連れて行くの?」



強く繋がれたままの手を見つめ、陸斗に尋ねてみる。



陸斗を怒らせてしまったとはいえ、どこに行くかくらい知る権利はあたしにもあると思う。



「教えない。」



陸斗は不愛想にそれだけ言った。



なにさ、強引にあたしを連れだしたくせに。



今すぐこの繋がれた手を切り離してやりたい。



「でも、オレの秘密の場所だよ。まだ誰にも教えてないんだ。」



わかった気がする。



前にも、陸斗がこうやってあたしの手を引いてどこかへ連れて行ったことがあった。



あのときは授業をサボって旧校舎にある陸斗のアトリエに行ったんだっけ。



初めてあの部屋に入ったことを思い出すと3か月は過ぎてしまったからなんだか懐かしいな。



陸斗が向かっているところはわからないけれど、今は陸斗について行こう。



きっと、陸斗の連れ出す場所にはあたしがワクワクするものがあるはずだ。