原因を突き止めようとするほど、涙があふれて止まらない。



もう陸斗の世界に色を宿すことができないあたしが嫌で仕方ない。



鍵盤と向き合うのも嫌になり、あたしは逃げるようにベッドへ寝ころんだ。



目を閉じると、蘇ってくるのはあたしに色がついて見えていたときの陸斗の無邪気な表情や優月くんの演奏を初めて見たときの指。



あたし、バカだ…。



陸斗はあのままでいいのに、あたしは望みすぎていた。



陸斗の絵はとても素晴らしいのに、あたしはもっと多くの色を求めていた。



陸斗、本当にごめん。



どんなに謝っても陸斗の中にあの頃の色がついて見えていたあたしの姿は戻ってこないのに…。



後悔ばかりが募って仕方がない。涙も止まらない。



そんなとき、鞄に入れていたあたしのスマホがうるさく鳴り響いた。



電話の相手は陸斗だろう。どうせ、陸斗は絵具が切れただとかどうでもいいことを言ってくる。



今は電話に出たくない気分なのにな…。



そんな気持ちは電話の向こうの人物には届くわけもなく、スマホはうるさく鳴り響いた。