陸斗に家まで送り届けてもらったころにはあたしの指の震えはなくなっていた。



「本当に大丈夫なんだろうな?」



「大丈夫だよ。ほら、この通り。少し緊張してたみたい。」



陸斗の前では笑っていよう。陸斗に無駄な心配はもうさせたくない。



「ふーん。じゃあ、オレは帰るぞ。」



聞いておいて陸斗は興味がなさそう。



やっぱり、モノトーンになってしまったあたしには興味がないんだ。



そう考えるとショックだけど、とりあえずは陸斗の隣にいてもいいみたいだし。






あたしの部屋に入ってまた陸斗にピアノを演奏できる機会があったらと思い練習をしようとキーボードの蓋を開ける。



けど、さっきまで普通に動いていた指が鍵盤を見た瞬間に動かない。



あたしの指、ピアノが嫌いになっちゃたのだろうか。



後ろ向きな考え方はあまりしないようにしていたのだけど、このときだけは無理だ。