「あっ、優奈ちゃん。今日はここまでね。」



「はい。明日もまたお邪魔させていただきます。」



あたしが優月くんのオルガン部屋の前に立っていると、優月くんはあたしの存在にいち早く気づいて優奈のための演奏を切り上げた。



優奈はあの日以来、優月くんの演奏のとりこになったらしく毎日通っているらしい。



「優奈のことどう想ってますか？」



優奈を見てきらきらとした瞳で見つめている優月くんに尋ねてみる。



優月くんが優奈のことをどう思っていようとあたしには関係ないけれど。



優奈にはマリエンヌこと、赤羽根さんがいるわけだし。



「優奈ちゃんか…。毎日ここでオルガンの練習をする原動力にはなってるよ。同じ学年の子と仲良くできて嬉しいし。」



優月くんの中に優奈に対する恋愛感情は全くないみたいだ。



「はいはい、おしゃべりはここまでね。レッスン始めるから」



「はい。」



優月くんはそう言って今日から教えてくれる部分の楽譜を探す。