「恵美、色鉛筆がなくなった。今日、文房具屋に付き合ってくれるか?」
陸斗は自分の使っている色鉛筆をなかなか見せてくれなくなっていた。
「わかった。」
「これ、処分しといてくれ。」
でも、陸斗の使い終わった後の色鉛筆が入っている缶だけは持たせてくれる。
あれ?まだ、残ってる色があるみたい。
一つだけ長い色鉛筆が残っていることに缶を持った瞬間気づく。
陸斗にも嫌いな色があったりするんだな。
なにも気にしない様子であたしは使い終わった色鉛筆の缶を捨てる。
そういえば、陸斗が描いた絵も最近オレンジを使った絵を見なくなったな。
少しさみしく思うときもあるけれど、それ以上に陸斗が他の色も使ってくれるようになったことが嬉しくてあまり気にしていなかった。



