傘に入れてくれますか?

美雨はマイペースな性格で言いたいことはなんでも口に出すのでその場で笑いが巻き起こる。



優月くんは美雨の言葉を聞き取り考えて楽譜の入ったファイルから一枚の紙を取り出してうなずく。



「じゃあ、美雨ちゃんを眠りの世界に連れて行くような曲を弾こうかな。」



優月くんは楽譜をピアノの譜面台の上に置き、椅子を4つ用意して万が一にも美雨が寝られるようにした。



そして優月くんの演奏が始まる。





1曲が終わると美雨は優月くんの思惑通りすっかり眠りに陥っていてそれを見ていた優奈と彩乃が顔を見合わせて笑う。



「あの、その曲なんて曲なんでしょう?」



美雨を眠りの世界へ連れて行った優月くんの曲に興味を持ったのか、優奈が質問する。



「そのままのタイトルだよ。眠れる森の美女って曲だよ。」



優月くんが正直すぎて笑えてくる。



美雨は本当に美女そのもので、優月くんの弾いた曲にぴったりだ。



「美雨ちゃんが寝ちゃって続きは聴けないのが残念だけど、ほかに聴きたい曲はある?」



美雨のだけでも心がいっぱいになったけれど、そういえばまだ一曲しか聴いていなかったんだ。



「バッハのメヌエットお願いします。」