「あっちも思ったけど、それはまずいよ。ユヅっち飛び級でもしてくれないかなぁ。」



本当に先輩方には申し訳ないことをしたなと思ってしまう。



でも、優月くんが楽しそうに話しているならそれでいいのかな?



あたしは優奈たちをここへ連れてきたところでこの場から去ろうと思った。



あたしがいなくても優月くんがいてくれれば優奈も美雨も彩乃も満足だろう。



「恵美ちゃん。今日はいいの?」



優月くんは全てを見ているみたいで、あたしが戻ろうとしているところを見つかってしまう。



あたしが陸斗のところへ行ったら、美雨たちが揃って文句を言うだろう。



陸斗のことも心配だし、どうしよう…。



あたしはとりあえず、優奈の隣に並んで優月くんの演奏に耳を傾けた。



優月くんには後から説明するとして、陸斗のところへは隙を見て行けばいい。



「リクエストとかある?なんでも弾くよ。」



優月くんにそう聞かれて皆はじっくり考え始める。



今日はあたしが教えてもらっているきらきら星変奏曲だけは弾いてほしくない。



「なんか、授業で頭使ったから眠くなってきちゃったぁ。」