「心音、遅いじゃないか。待ちくたびれたよ」
扉を開けて目の前に私の父。
「なにかあったの?」
と、母。
「早く座れよ、腹減った」
と、来週アメリカへの留学が決まっている兄。
わたしは宮地の年齢と孫の存在に頭が狂いそうなのであります...
「申し訳ございません、暁の話をしておりまして...」
私が遅れた理由を宮地が説明すると、父がそうだったな、と言って話し始めた。
「今度、陽大(ハルト)がアメリカがアメリカに行くだろう?それで小林に付き添ってもらうことにしたんだ。」
小林、というのは一番秋園家に務めている執事で東大を卒業している優秀な執事。
年齢はたしか40代だったかな?
「え?小林、お兄ちゃんとアメリカ行っちゃうの?」
「俺も英語は一応喋れるけど、向こうのことよく知らないし、小林がいるなら安心だと思ってさ」
「ってことは家の執事は宮地とメイドの笹倉だけ!?」
「はい、そして暁にございます」