*小雪said*

やってしまった。



雪村くんの手を引きながら懸命に走る。



中に入るとかなり高級な老舗料亭だとひと目でわかった。




でももうあとには引けない。


決めたんだもん。伝えるって。

私は店員さんが止めるのも無視して襖を開け放していく。



雪村くんどこ?伝えたいことがあるんだよ。



迷惑だって分かってる。



でも伝えたい。


部屋どんだけあんの!!

早くしなきゃ。手遅れになる前に。



とうとう最後の襖も開けると。




雪村くんが袴を着て退屈そうに座っていた。



私がいきなり現れてびっくりする雪村くん。