今日は百合が自分の好きな人を見てほしいとか言うからわざわざ会いに来た。

「あ、そうだった!」と百合は相変わらず騒がしい。

華女に通ってるとはほんとに思えない。

「あの人!!」

百合が指差したのはこのカフェの店員。

まあ、普通にかっこいい部類。

「あの人ね〜、私が〜」

百合が学校から帰る際にここのカフェの近くでナンパされて困っているところ助けてくれたらしい。

で、その人がここのカフェの店員だって気づいたらしく、それから毎日通ってるとか。


少女マンガすぎて笑えたけど百合がその人を見る目は熱っぽくて。

百合が語ってるうちにふと窓の外に目をやると。

赤いチェックのマフラーが走っていくのが見えた。

あれは小雪...ちゃん?

思わず立ち上がる。

「海里?」

でもその背中を追いかけることは出来なかった。