「なんで泣くの」と笑いながらヨシヨシと頭を撫でる雪村くん。


ううん。


これはいつもみたいな悲しい涙じゃなくて。

嬉し涙だ。



ほんとに嬉しい時にも涙って出るんだね。



「小雪ちゃんってほんとすぐ泣くね」




泣かせたのは雪村くんだよ。




責任取ってよ。




「小雪ちゃん、」



伝えなくていいの?



今言うべきじゃないの?


「僕さ、お見合い、すんだよね」




え?言おうとしていた2文字を慌てて引っ込める。



「お見合い...って?」



「最近おとーさんと上手くいってて。



で、お父さんの会社の取引先の娘さんと」



小雪ちゃんがお父さんのこと、叱ったおかげだねと笑う。



止まってた涙がまた出そうになって頑張ってこらえる。