「ちょっと私、急用思い出しちゃって!ごめんね!」


花火もまだ始まってないのに。



「うん、また今度ね」



近藤くんは優しく微笑む。



よかった、近藤くんが優しい人で。




私は後ろを振り返ることもないままなれない下駄で走り出した。




だから近藤くんが悲しい顔をしてたなんて気づくわけもなかった。



雪村くん、どこ?いやだよ私、喧嘩したまんまじゃ。


花火だって雪村くんと見たかったんだよ。


「はぁ、はぁ、」


息が切れる。



探しても探しても見つからない。