優とも少しづつ普通に話せるようになり、いつも通りの朝が来たときだった。

ーピロンー

「美央、メール」
「あっ、はい。ありがと」
『渡辺くん』
この前勉強教えてくれたときにアドレスを交換してその後こまめにメールで勉強を教えてくれる。
『今日の放課後、暇だから学校で勉強教えるよ!』
ほ、ほんと〜!?渡辺くんはすごく優しい。
『ありがとう!!ホント助かります!お願いします!』
と私は返した。
「優、今日帰り遅いからご飯遅くなっちゃうけど大丈夫?」
「あの、渡辺とかいう男?」
「うん、勉強教えてもらってるの。」
「ふーん、わかった。」
なぜか不機嫌なまま家を出てしまった優。
私何かしたっけ?
そんなことを考えながら学校に着くとそこには環奈が立っていた。
「環奈、おはよう。どーしたの?」
「美央…あのさ、私が勧めといてあれなんだけど、渡辺には気をつけたほうがいいよ?」
「え、なんで?」
「とにかく!気をつけてね!」
そう言うと環奈は私を連れて教室に入った。堂々と“遅刻”しながらね。

授業が終わり、荷物の整理をしていると渡辺くんがやってきて、
「ここじゃ、うるさいからあっちの空き教室でやろうか。」
と提案してきた。
私は朝環奈に言われたことをすっかり忘れていて、わかったと返事をしてしまった。

このあとのことなんて何も考えずに。