優に支えられながら出た教室はもう二度と使うことはないだろう。
こんなことになるなら環奈の言う事聞いておけば良かった。
ほっぺたが熱い。保健室はしまってるから氷はもらえないし。
さっき腰が抜けてしまったのだろう。足がガクガクする。
怖かった。怖くて怖くて泣くことしかできなかったのに、それ以上に優が助けに来てくれた事が嬉しくて、あぁやっぱり彼じゃなきゃだめなんだと思い知らされた。
「美央、おいで」
「え、?」
優はしゃがんで私においでと言っている。
「おんぶ。…お前腰抜けて歩けねーだろ。」
「だ、大丈夫!!歩けるよ」
「ガクガクじゃん」
そう言うと断る隙も与えないほど素早く私を抱きかかえられてしまった。
「ちょ、おろしてよ!」
「暴れると落とすよ?」
「うっ…」
「よーし、いい子」
私はただ彼にもたれかかりながらこのドキドキをおさめることに集中した。



家について私はやっと一人で立つことができた。
私は夕飯の準備をしなきゃと思い急いでリビングに向かう。
「あっ…!待って美央…」
「ん?」
そう言いながらドアを開けてしまった私は机の上に置かれたケーキの文字を見て泣き出した。
ー愛してるー
そこにはたしかにそう書かれていた。
私は後ろで頭を掻きながら恥ずかしそうに立っている優のもとへ行き、こう答えた。
「私も愛してる」
その瞬間彼の照れた可愛らしい顔は一瞬で狼の顔へと変わり私を抱きしめた。
「美央…好きだ」
耳元で囁かれるその声はすごく色っぽくて。
もうドキドキが止まらなくて。
「ありがとう」
と、笑顔で答えた。