学校からほど近い高層マンションが見える。

「先生……ここは?」
「俺の家だよ。体も随分冷えてるだろう。道路もあの調子じゃいつ着くかもわからないから。……無理して風邪ひくより、家で温まってから帰せばいくらかマシだ」

ということは……先生の家で温まるってこと⁉︎
パニックに陥る私を後目に、先生はマンションの駐車場に車を止め、私の荷物を持った。

「全く。厄介事に巻き込まれたな」
「すみません……っくしゃん!」
「…………」

やば……。
ほんとに風邪ひいたかもしれない。

先生の家に……。
これこそ、誰かに見られたら、とんでもないことになるんじゃないかな。
先生の大きな背中を見上げて、部屋までの廊下を縦に並んで歩いた。