ちらっとドアを見るが、先生の背中と雨しか見えない。

青いTシャツと黒いジャージを着たら、さっきのジャケットとは比べ物にならないほどの先生の香りがして、まるで先生に抱きしめられてるような気がした。

「着替えました……」

ドアを開けて、大きな先生を見上げると「ああ」とそっけない返事をされる。

「そんな格好で帰れねえだろう。車で送ってやる。誰にも言うなよ」

「! はい!」

嬉しい。嬉しい。
先生の車に乗れるなんて。