「ぎゃあああっ! く、暗闇も……雷も、ダメです。ひとりにしないで下さい……」
「……わかったよ。世話かかるな、お前」
「すみません……」

……あれ。さっきより、密着してるような。
よく見えないけど、先生は廊下に横たわってるし、私もそんな先生に足を絡めて、腕枕されてる?

恐る恐る、先生の顔がありそうなところに手を伸ばす。
鼻らしきものに当たり、「何もぞもぞ動いてんだ」と手首を捕まえられた。

「いえ、全然見えなくて、先生がどこにいるのか……きゃ!」

カーテン越しでもわかる閃光がまた、瞬いた。先生の胸にしがみついて震える。
音が……あまりの迫力で腰が抜けそうだ。

「怖い……この部屋にも雷落ちちゃうかもしれませんね」
「落ちねえよ。つか、落ちても大丈夫になってんだよ。あと、落ちついたら目も慣れるから、じっとしとけ」
「で、でも」
「そんなに落ちつかねえなら、何かして気ィ紛らわすか?」