でも、この格好。壁にもたれる先生を、私が押し倒してる……よね。先生の膝に私の足が重なって絡んでるし。
見上げたら、先生の顔がすぐ近くにありそうで……。

もぞもぞと足を動かすと、先生の手が私の腰にぴとっと触れた。

「あ……やんっ」

わっ!
私、なんて声を…!

先生の顔は見えないけど、呆れられている空気がひしひしと伝わってくる。溜息はしっかり聞こえた。

「……何て声出すんだよ。支えただけだろうが」
「す、すみません」

そう言われると思いました。ごめんなさい。
先生は、項垂れる私に、くっくっと笑いを堪えている。

「懐中電灯あったかな」

と、先生はあっさりと私を置いて立ち上がろうとするが、私は恥を忍んで蟹挟みで動きを封じた。

「ちょ、置いていかないでください!」
「あ?暗闇ダメなのか?」

会話の隙間にも一つ、恐ろしい轟が聞こえてきて悲鳴をあげる。