「じゃあ罰ゲームを提案するのは1着でゴールした人な。特に反論なければスタートしようぜ」
拓也はそう言って、皆の反応を見るとAボタンを押した。
画面がレースのコースに切り替わる。
4つの画面に区切られていて、私のキノコのキャラクターは右下に映し出された。
「頼んだよ、キノコくん」
あまりにも気合いを入れすぎて思わず口から言葉が漏れる。
「瑞希らしいわ」
「頑張れ瑞希」
まずはとにかく一周ゴールして行けばいいのよね。
カメのキャラクターが信号を持ち、3カウントが始まった。
スタートの合図とともに、キノコが乗った車が走り出す。
牧場の間をどんどんと進み下手ながらにもスムーズに一周目を終えようとしていた。
約束どおり、他の3人の画面はスタートしたときから変わらずにそのままの状況で止まっている。
「瑞希ちゃんいい調子!」
冬馬くんの声が聞こえてきた。
でも私には返事をする余裕なんてなくて、ただひたすら集中する。
「お、来た来た」
私の画面に皆のキャラクターの後ろ姿が映し出された。
「さて俺らもスタートするよ~、3・2・1ゴー!」
私の1ラウンド終了とともに3人のキャラクターがスタートした。
同時スタートなはずなのに、すでに皆私よりも先にいる。
「えー!なんでそんなに速いの!」
コントローラーが壊れてるんじゃないかとか、キャラクターが遅い能力なんじゃないかそう思えて仕方なかった。
「ドリフトとか極めてるからな」
そう答えた冬馬くんを横目でちらりと確認するとコントローラーを巧みに操作していた。
「ドリフト?」
ドリフ?ドリブル?
なんか聞いたことあるようなないような。
「あとで教えてあげるから、とにかく集中してがんばって」
「うん。あり…」
「冬馬やっさしー」
お礼を言いかけた瞬間、拓也の茶化しに遮られた。
くそう、負けない。

