「瑞希の意見も文句も受け付けませーん」
拓也が間髪いれずにそう答えた。
「おい、拓也それはだめだろ」
必死に冬馬くんが抵抗してくれる。
でも、そんなの拓也には通用するわけもなく。
「はいどーぞ」
気づけば冬馬くんと私は向き合わされていた。
どんな姿勢を取ったらいいのかもわからず、ついつい正座をしている私。
「瑞希かたいかたい、とりあえず前向こ?」
ニヤニヤしながら穂乃花が私の肩を人差し指でつついた。
「だ、だって」
今日初めて会った冬馬くんが目の前にいて、ただでさえイケメンなのに正面なんて向けるはずがない。
「瑞希ちゃん、ごめんね」
少しテンションの下がった優しい声が聞こえてきた。
その声に顔をあげると、申し訳なさそうな顔をする冬馬くんがいる。
…そうだよね。冬馬くんだってしたくないはず。
「私こそ、ごめんなさい」
ここはもう受け入れるしかないんだ。
罰ゲームだし、ちょっと触れるだけでいいんだもん。
「目、瞑れる?」
じっと冬馬くんを見つめているとそう言われた。
やだ、恥ずかしい。
そう言えば、キスって目を閉じるんだよね。
さらに恥ずかしくなって体温があがった。
「瑞希真っ赤っか」
クスクス二人が笑う声が聞こえてくる。
あーもう、どうにでもなれ。
そう思いながらギュッと目を閉じる。
少し経つと温かい空気を感じた。
それから、固く結んだ唇に優しく何かが触れる。
なんだかとても心地よく感じたけれど、すぐにそれは離れていった。
「はい」
一言聞こえて目を開けてみると、さらに優しい顔をした冬馬くんの顔が近くに見えた。

