「冬馬甘いぜ、誰が最下位だけに罰ゲームを与えると言った?」
チッチッチと言いながら拓也はニヒルな笑みを浮かべた。
「はあ?」
冬馬くんが眉間にシワを寄せる。
穂乃花も同じ表情をした。
「それでは、罰ゲームの発表です」
謎めいた空気を無視して続ける拓也。
私は唾をゴクリと飲み込んだ。
ぎゅっと握った手にじわじわと汗が出る。
「もちろん最下位の瑞希さん。当たり前ですが対象者でございます。それから2位の冬馬くん」
「あ?俺かよ」
「余裕ぶっこきながら1位を手にできなかったので、仕掛人となっていただきます」
相変わらずニヤニヤとしている拓也は私はおろか、冬馬くんまでも指名した。
一体何を与えるというのだろうか。
「冬馬くん、最下位の瑞希さんにキスをどうぞ」
「えっ!?」
「はあ?」
「き、キス!?」
拓也以外の3人がまさかのお題に一斉に言葉を発した。
キスって…
嘘でしょ?
「何言ってんの?キスなんて無理でしょ!!」
私に代わって穂乃花が答えた。
「なんで無理なんだよ。最初に反論がないかちゃんと聞いたろ?」
いやいや、まさかそんなお題が出るとは思わないでしょ。
「そうだけど…それに冬馬くんとは初対面なのに」
必死に穂乃花が拓也を説得しようとしている。
もしかすると、冬馬くんと私にキスしてほしくないのかな。
ってこれじゃあまるで、私はキスしてもいいみたいな感じじゃないか。
ダメよダメ。
キスなんてしたこともないのに。
「罰ゲームなんだからダーメ!もう決めたんだから」
なっ、と拓也が冬馬くんの肩に手を乗せた。
「ほんと拓也らしいわ…」
冬馬くんは片手で顔を覆うとため息をつく。
きっと冬馬くんだって嫌に決まってるよね。
「瑞希ちゃんはどう…?」
名前を呼ばれて顔をあげると何とも言えない表情をした冬馬くんが私を見ていた。
「えっと…」

