「あれ、早かったんだね」 店に入ると、マスターが笑顔で迎えてくれた。 「ちょっとね。なにか、おすすめのワインもらえます?うんと甘いやつ」 そう言うと、マスターが目を丸くした。 珍しいね、と。 もうしばらく、苦いのは遠慮したい。 出されたワインは予想以上に甘ったるくて、頬を流れる涙が余計にしょっぱかった。 FIN