これが私の中に残る3年間の中で最も輝いて見えたとき。





辛いことも悔しい思いをしたこともたくさんあった。





でもそんなのどうでもよかったと思えるくらい素敵な思い出だ。












結局そのあと2勝したが、ベスト8で敗退。





それでも最初の勝利があるからこそ悔しい気持ちでいっぱいいっぱいだったけど、高校球児の夢である甲子園への出場切符を手にできなかったとしても私にとって部員たちはナンバーワンだった。










「なあ、気づいてたか?」





「え?」




相変わらず視線をグラウンドへ向けたまま、大樹は私に問いかけてきた。





「俺さいつもネクスト入る前のベンチで絶対お前の横に座ってたんだよ」




少し照れたような横顔の大樹。




私はそんな大樹から視線を外せなかった。




「お前の横に座ると打てる気がしてたんだ」




じわじわと目尻に温かいものが溜まる。




今すぐにでも大樹を抱き締めたい気持ちになった。




なんと言っていいのか言葉が出てこない。





「俺にとってお前はいつだって勝利の女神だったよ」





我慢していたのにその言葉でぶわっと押さえきれなかった滴が溢れだした。