「3年間って長いようで短いってよく言うけどさ、私は過ぎてみて長く感じたわ」
もうすぐ卒業式を控え大学受験も済ませた私たちは放課後、グラウンドと校舎の間にある駐輪場の柵に腕をのせて体を預けていた。
「俺は短かったわ」
私と正反対の意見を述べたのは、18年間ずっと一緒にいる幼なじみの大樹(ダイキ)。
保育園の時から田舎でクラス数も少ないためずっと同じクラスで過ごしてきた。
1000人近くの生徒がいる高校でも特殊な科にいるために、1クラスしかなくて3年間一緒だった。
そして部活動さえ。
もうこのまま大樹とずっと一緒にいるのかも、と一時期そんなことを考えてみたけれども。
それは大学で別れるということを知ってからはその考えはあり得ないことだと自分に笑った。
大樹は県内の大学へ、私は東京の大学へと進学が決まっている。
きっと実感がわかないだけだろうが、今はまだ不思議と離れることに寂しさは感じていない。
「いやー懐かしいなー」
「本当に懐かしいね」
目の前のグラウンドで行われている野球部の練習風景を眺めながら私たちは3年間の思い出に浸っていた。
かつては私たちがいたあの場所。