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小さくあくびをついて、階段を上る。


もう何度通ったかわからない屋上への道。


右手に持った紙袋が、左手にある一眼レフよりも重く感じて、いやになる。


結局、持ってきてしまった。


捨てよう、捨てよう、捨てようって唱えてたのに。


ふう、と息を吐く。


屋上のドアを手にかけた。


その時。


「渚くん。
これ、チョコ、なんだけど」


小さく上ずった声が聞こえて、思わず小さくドアを開けたまま固まった。


女の子と、ナギ君の、横顔が見える。


「あの、ずっと、渚くんのことが好きでした。
受け取って貰えますか?」


そう言った女の子は、女の私が見ても可愛くて、モテるんだろうなっていうタイプ。


そんな彼女の隣に立つナギ君は、私には見せない笑みを浮かべていた。