「チエ先輩は気づいてないだろうけど、本当は写真、何枚も撮ってたんですよ」


そう言いながら、ナギ君は私にカメラを手渡した。


そっと再生ボタンを押す。


そこには、カメラを構えた私の横顔があった。


次も私。


その次も、その次も、全部、私。


「な、にこれ。
いつ撮ったの？」


「チエ先輩、カメラ構えたら周りのことなんか気にしないから。
そういう時に、撮ってました。

自分でも引きます。もはやストーカーの域に達してる。
アスカ先輩にも見られました。最悪です」


ナギ君が言うのをよそに、私はその写真に引き込まれた。


自分の横顔、だというのは恥ずかしいけれど、恥ずかしさなんてどうでもよくなるくらい、その写真は綺麗なのだ。


「ナギ君。
私、ナギ君のこと好きだよ」


素直な気持ちがポロリと零れた。