私は学校があまり好きではない、
だけど人は好きで

好きな人だけがずっと周りにいてくれればいいのに、なんて思う

大好きだった友達もいつしか大嫌いな存在になって
ずっとずっと一緒なんて無理だと思っていた

だからこそ次は、
失敗したくない。


そう思いながら笑顔を作り学校までの道を急ぐ。





「おはよう!」
少しだけ巻かれた毛先が
風に揺れ、甘い香りがする。

1年生のときに同じクラスだった
和泉 沙綺 が私に手を振る。

「夏鈴おはよう!

「おはよう、今日ちょっと寒いね」

「ほんと寒い!だけど寒いからココア日和だね!」

何気なく返した言葉を
沙綺は笑顔で明るい話題に変える


校門からクラス発表の掲示板までの道
沙綺はずっとずっと喋っていた

「同じクラスになれるかな!」
「せめて隣がいいよね!」
「1組と4組とかだったらどうする!?」
「緊張してきた~!!!」

と1人で話している沙綺を横目に
私はそっと空を見上げた。


私の暗い毎日には沙綺くらいの明るさが
ちょうど良い。明るすぎるかな、とも思うけど。

そうこうしているうちに
学校へ着いた


掲示板の前にはたくさんの生徒が群がり、
沙綺は勢いよくその中へ突っ込んで行った。


キラキラした笑顔で頬を赤くさせ
私の元に走る沙綺はすごく可愛く見えた。

「同じ!今年も夏鈴と同じ!!!」

私の名前を連呼しながら
喜ぶ沙綺をみて

私もそっと笑顔になった