「うわっ!」


ある晴れた日の休日、私、松江由紀(マツエユキ)は久しぶりに街へ買い物に来ていた。


前々からほしいと思っていた本も買え、上機嫌で階段を降りようとしたとき、目の前にいた男の子が前のめりになった。


落ちる!


そう思った私は、咄嗟にその子のリュックを掴んだ。


そのおかげか、男の子は後ろに体勢を崩し、階段を転がり落ちずにすんだ。


「び、びっくりした…」


それはこちらの台詞だ。


そのまま落ちていたら大惨事。