『さて、自分の力で見つけたところで、
改めて説明しよう。
お主に授けた魔法は、
【自分の体の中にある痛みや病を相手に移す】だ。
呪文を唱えると、お主の体から“痛み・病”が掌に形となって現れる。
それを、“移したい相手”に押し込むことで、
本来お主が負うはずだったダメージを相手に与えることが出来る。』
「痛みだけじゃなくて病もか・・。
って・・妖精のおじさん・・・
・・・俺・・・ものすごく大変な事実に気付いちゃったんですけど・・。」
『なんだ?』
「初めて・・俺が魔法を使った時、
俺は電車の中でお腹が痛くなってあの合言葉を唱えました。
あの時は会社に遅刻しそうになってたし・・トイレも我慢していて、
・・ちょうど最寄り駅に着いたタイミングだったから、
満員電車の人混みをかき分けるようにして電車を降りました。
あの時も、自分では気付いていなかっただけで、ちゃんと掌に光の玉が出ていたってことですよね?」
『いかにも。』
「じゃあ・・・あの場にいた誰かに・・・
俺の“腹の痛み”が・・・。」
『正直に教えてやろう。
あの後、
お主の痛みを移された相手は我慢しきれず、
お主が乗っていた車両は大惨事となった。』
「なんてことに・・・。」



