4/28 -サクラソウ- 花のような君に贈る想い


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この胸騒ぎがなんなのか、宮前自身にも分からなかった。


和が出て行ったあと、酷い雨だったことを思い出して慌てて追いかけた。

元々送っていくつもりで酒は飲んでいなかった。


通りに出て、和がタクシーに乗り込んだところだった。


それならそれでいいと思ったのに、タクシーが都市高速に乗るのをみて変な胸騒ぎがした。


石川に連絡をして教えてもらった霊園は、暗くて車も停まっていない。


砂利の駐車場を雨が打ち付けて泥が跳ねる。


「宮前!」
「あ…先輩っ」

車を降りて霊園の奥に入ろうとしたところで、タクシーから石川が傘をさして降りてきた。

「こっちだ」

石川についていくと、静かな霊園の中に佇む、白っぽい姿が見える。

傘すら差していない白い春ニットの背中は、さっきまで向かい合っていた和のもので、膝をついて泣き崩れている姿に、安堵よりも先に宮前は息を呑んだ。

「あ、おい、宮前!」

春佳の墓の前で泣く和の姿に、石川は思わず足を止めていた。しかし、その横を宮前がすり抜けていく。

その瞬間、和の体が揺らいだ。

「崎本!」

倒れこんだ和を抱き起こすと、びしょ濡れの服から出ている腕がひどく冷たかった。