意識なんかしなくても和の生活にはいつも春佳がいる。
ああ、今ここにいたらこんなことを言うとか、これはきっと笑ってくれるとか、逆に怒られそうだからやめようとか。
和の行動のひとつひとつに、春佳は存在する。
それは、和が生きていく上で、もう切り離せない一部だ。
「これから先も、か」
「一世一代の恋ってやつですよ」
「まだ、若いんだから、分からないだろ」
「年齢なんか、関係ないですよ」
出会ってしまえば、年齢なんか関係はない。
「恋人じゃなかったのにか」
例えばまだ高校生だった自分を、好きな人が受け入れてくれなかったとしても。
それは年齢のせいではなくて、年齢を超えるほどの魅力がなかった自分がいけなかったのだ。だから、春佳は和には愛の言葉ひとつ告げなかった。
それでも、春佳を想う気持ちはひとつだって消えていない。
それはゆるぎないはずなのに。
「…そりゃあ、いつかは振り向かせてやろうと思ってましたけど」
呟いて、はっとして口を噤んだ。
"思っていた"なんて。まるで今はもう、そうは思っていないような言い方に、自分で気がついて傷ついてしまう。
顔をあげれば、宮前が和を見ている。
哀れで、可哀相なものを見る優しい目。
「…失礼します」
気がつけば、和は店を飛び出していた。
ああ、今ここにいたらこんなことを言うとか、これはきっと笑ってくれるとか、逆に怒られそうだからやめようとか。
和の行動のひとつひとつに、春佳は存在する。
それは、和が生きていく上で、もう切り離せない一部だ。
「これから先も、か」
「一世一代の恋ってやつですよ」
「まだ、若いんだから、分からないだろ」
「年齢なんか、関係ないですよ」
出会ってしまえば、年齢なんか関係はない。
「恋人じゃなかったのにか」
例えばまだ高校生だった自分を、好きな人が受け入れてくれなかったとしても。
それは年齢のせいではなくて、年齢を超えるほどの魅力がなかった自分がいけなかったのだ。だから、春佳は和には愛の言葉ひとつ告げなかった。
それでも、春佳を想う気持ちはひとつだって消えていない。
それはゆるぎないはずなのに。
「…そりゃあ、いつかは振り向かせてやろうと思ってましたけど」
呟いて、はっとして口を噤んだ。
"思っていた"なんて。まるで今はもう、そうは思っていないような言い方に、自分で気がついて傷ついてしまう。
顔をあげれば、宮前が和を見ている。
哀れで、可哀相なものを見る優しい目。
「…失礼します」
気がつけば、和は店を飛び出していた。

