4/28 -サクラソウ- 花のような君に贈る想い


「別にそれ自体がダメってことではないし、そこに何かを言うつもりはない。けど、俺はそれを手伝えない」

宮前が沈んだ顔で俯く。

「なんで、宮前さんがそんなに落ち込むんですか」
「いや、こういう話だと思っていなかったから…結構な対応をしたと思って」

あまりに真剣に言うので、思わずくすくすと笑ってしまう。

「あまり深く考えないでください。別に、なにかあった訳じゃなくて、今ならできそうだと思って、思い立って動いただけなんです」

今までも考えてはいたが、何も浮かんでこなかった。
ぐちゃぐちゃにしたクロッキー超は、部屋にいくつもある。

それが、宮前の存在を思い出して加速していた。それだけに、この状況は残念だが仕方がない。

「それに、嫌がっている人に無理やり頼んだりしたら、それこそハルカ君に怒られちゃうので」

他の人の原作に絵をつける仕事のとき、春佳は苦手な原作だと田上につっかえてしまうこともあった。

もちろん、仕事だから割り切ることはあったけれど、そういう時の絵はどこか身が入っていないのが和には分かった。

そういうことを、宮前に強いたくはない。

「…そういう言い方をするから、きづかなった」
「はい?」
「まるで、花野さんがまだ生きているみたいに話すんだな」

宮前の少し切ないような顔は、見覚えがある。


同情。


可哀相で、腫れ物を扱うような痛ましい視線に、和は思わず笑ってしまう。

ふふふ、と笑った和に、宮前が怪訝そうに首を傾げる。


「ごめんなさい。ハルカ君は、私にとって一生の大切な人ですから。今、すぐそばにいなくたって、これから先も好きなことに変わりはないんです。だからですかね、たまにそういう風に言われちゃうんですけど」