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完全に個室ではないけれど、テーブルごとに仕切りのあるカジュアルレストラン。
窓の外は、春の嵐みたいな雨が降っている。
これくらいライトな雰囲気の方が丁度いいと思ったのだが、目の前に座った宮前の雰囲気からすると完全個室にしておけばよかったかもしれないと和は思った。
「お口に合いませんでしたか」
「いえ…べつに」
もくもくと目の前の料理を食べる宮前に、和は心の中でため息を突いた。
お礼にお食事をご馳走させて頂く約束、そろそろいかがでしょうか。
そんなメールとともに今日の日付と時間と店を送ったら、次の日に了承の返事が来た。
「すみません、まだ忙しかったですか」
「いえ…べつに」
忙しいときに誘ったことを怒られているのでなければ、おそらく前回の送ってもらったときのことがやはりまずかったのだろう。
和的には割りと楽しかっただけに、この反応は結構ショックだった。
ただでさえ最近は気落ちしているのに。
結局デザートのタイミングまでほぼ会話のない食事会となった。
(これは、返事どころではないかな…)
「イラストの話ですが、正式にお断りさせてください」
今日はいい返事が聞ける気が全然しないので仕切り直すつもりでいたら、宮前がいきなり切り出した。
「え?」
「花野さんの話、先輩に聞いた。その人との約束の絵本ということなら、俺は受けられない」
ガヤガヤとした店の雑音の中で、宮前の声が刺さる。
石川がどんな話をしたのかは分からない。けれど、確実なことはひとつ。
花野春佳がこの世にいないことだけは、知っているのだ。
完全に個室ではないけれど、テーブルごとに仕切りのあるカジュアルレストラン。
窓の外は、春の嵐みたいな雨が降っている。
これくらいライトな雰囲気の方が丁度いいと思ったのだが、目の前に座った宮前の雰囲気からすると完全個室にしておけばよかったかもしれないと和は思った。
「お口に合いませんでしたか」
「いえ…べつに」
もくもくと目の前の料理を食べる宮前に、和は心の中でため息を突いた。
お礼にお食事をご馳走させて頂く約束、そろそろいかがでしょうか。
そんなメールとともに今日の日付と時間と店を送ったら、次の日に了承の返事が来た。
「すみません、まだ忙しかったですか」
「いえ…べつに」
忙しいときに誘ったことを怒られているのでなければ、おそらく前回の送ってもらったときのことがやはりまずかったのだろう。
和的には割りと楽しかっただけに、この反応は結構ショックだった。
ただでさえ最近は気落ちしているのに。
結局デザートのタイミングまでほぼ会話のない食事会となった。
(これは、返事どころではないかな…)
「イラストの話ですが、正式にお断りさせてください」
今日はいい返事が聞ける気が全然しないので仕切り直すつもりでいたら、宮前がいきなり切り出した。
「え?」
「花野さんの話、先輩に聞いた。その人との約束の絵本ということなら、俺は受けられない」
ガヤガヤとした店の雑音の中で、宮前の声が刺さる。
石川がどんな話をしたのかは分からない。けれど、確実なことはひとつ。
花野春佳がこの世にいないことだけは、知っているのだ。

