立っているのも難だからとソファに座って話し続けること、
― 約2時間。
ピピピッという目覚まし時計の音に、和と宮前は揃って顔を上げた。
「あ、もうこんな時間だったんですね」
普段の起床時間だ、アラームを止めるために立ち上がった和の背後で、宮前は携帯電話を確認して頭を抱えた。
「…2時って」
「すみません。つい、盛り上がってしまって」
「いや…俺もすっかり話し込んでしまった」
がしがしと髪をかき混ぜる宮前に、和もさすがに申し訳のない気持ちがふくらむ。
送ってもらった上に部屋の片付けまでしてもらい、こんな時間まで引き止めてしまったのだ。
「じゃあ、俺はこれで」
立ち上がった宮前に続いて、和も玄関まで見送る。
「何から何まで申し訳ありませんでした。助かりました。今度、俺になにかご馳走しますよ」
「いや、別に、」
「その時にまた、お返事をください」
眉をひそめた宮前に、「絵本の」と付け足すと、盛大なため息が返ってくる。
「…考えておきます」
「別に敬語じゃなくていいですよ。私の方が年下ですし、本崎和也じゃなくて、崎本和からの依頼ですし」
「…じゃあ、まあ、遠慮なく」
居心地の悪そうな宮前にもう一度お礼を言ってから見送る。
睡眠時間は全然足りていないのに、まだ興奮が胸に残っている。
出しっぱなしにしていた絵本を持ち上げて、さっきまで話していたことを思い出すと思わず口元が緩む。
誰かと話していて、こんなに楽しかったのは久しぶりだ。
春佳と本棚をひっくり返して、好きな本の話を一日中していたあの頃のようで。
その日、明け方に少し転寝をした和はもう一度、桜の夢を見た。
― 約2時間。
ピピピッという目覚まし時計の音に、和と宮前は揃って顔を上げた。
「あ、もうこんな時間だったんですね」
普段の起床時間だ、アラームを止めるために立ち上がった和の背後で、宮前は携帯電話を確認して頭を抱えた。
「…2時って」
「すみません。つい、盛り上がってしまって」
「いや…俺もすっかり話し込んでしまった」
がしがしと髪をかき混ぜる宮前に、和もさすがに申し訳のない気持ちがふくらむ。
送ってもらった上に部屋の片付けまでしてもらい、こんな時間まで引き止めてしまったのだ。
「じゃあ、俺はこれで」
立ち上がった宮前に続いて、和も玄関まで見送る。
「何から何まで申し訳ありませんでした。助かりました。今度、俺になにかご馳走しますよ」
「いや、別に、」
「その時にまた、お返事をください」
眉をひそめた宮前に、「絵本の」と付け足すと、盛大なため息が返ってくる。
「…考えておきます」
「別に敬語じゃなくていいですよ。私の方が年下ですし、本崎和也じゃなくて、崎本和からの依頼ですし」
「…じゃあ、まあ、遠慮なく」
居心地の悪そうな宮前にもう一度お礼を言ってから見送る。
睡眠時間は全然足りていないのに、まだ興奮が胸に残っている。
出しっぱなしにしていた絵本を持ち上げて、さっきまで話していたことを思い出すと思わず口元が緩む。
誰かと話していて、こんなに楽しかったのは久しぶりだ。
春佳と本棚をひっくり返して、好きな本の話を一日中していたあの頃のようで。
その日、明け方に少し転寝をした和はもう一度、桜の夢を見た。

