4/28 -サクラソウ- 花のような君に贈る想い

「ミステリーを書く前は、童話とかも色々挑戦していて。そのときに、その人に言われたんです。絵本はつくらないのかって。
でも、ご覧のとおりの画力なので無理だって言ったら、いつか、私の作った絵本を見せて、って」


窓から見える紫陽花が、雨上がりでキラキラしている梅雨晴れの日だった。


"和の絵本ってすっごい興味ある。いつか作ってよ、売り物じゃなくていいからさ。和がつくる、俺の為の絵本"


太陽みたいな、満開のひまわりみたいな笑顔でそう言って、無邪気に指きりまでした。


「ずっと、私には無理だって諦めてたんですけど。最近になって、やってみようかと思って。それで、ずっと気になっていた宮前さんにイラストをお願いしたくて」
「…気になってた?」
「私、円舞曲(ワルツ)シリーズのデザインのファンなんです。あのサイト、宮前さんですよね」

円舞曲(ワルツ)というのはファッションブランドは、宮前が若い頃にコンペで勝ち取った初めての大きい仕事だ。
そこのデザイナーとは趣味が合い、今では円舞曲から派生した他レーベルのロゴや、ショップバッグなど色々なデザインを任せてもらっている。

「あと、K市のマスコットキャラのモモンガとかグッズを買い揃えたりしてます」
「…本当にか」
「でも一番は、大学3年の時に出展した美術展の絵が一番好きです」

バッグをあさり、今度は小さなカード用のクリアファイルを取り出す。
その中から、ビニールに入ったポストカードがいくつか出てくる。

「部屋に飾っているので、ちょっと袋傷んでますけど」
「…いや、懐かしいな、それ」

カラフルで、明るくて、引き込まれる色彩の3枚の絵。