4/28 -サクラソウ- 花のような君に贈る想い

和だって無理をお願いしていることは分かっている。

それでも、どうしても、宮前のイラストがほしいのだ。


自分がこれから作る物語は、宮前のイラストで描いて欲しい。


宮前は基本的にかっこよかったり綺麗なデザインが多いが、たまに作るキャラクターデザインや柔らかいイラストがものすごく和好みなのだ。


イラストレーターとして大学生の時にいくつかコンペに出していたという情報も石川から得ている。


でも、当の宮前は取り付く島もない。


それもそうだ。

いきなり仕事上で聞いたことがある程度の人間から、

「絵本を作りたいからイラストを頼みたい。ただし、周囲には内緒で、ストーリーも極力秘密で」

などという訳の分からないオーダーなのだ。


そもそも、内容を知らずに指定されただけのイラストをかくだけの仕事なんかできる訳が無くて。


でも、それでも、どうしても宮前に頼みたいのだ。

(あの絵があれば、きっと、約束を果たせるはず…)


隣で仏頂面を決め込んでいる宮前の運転で、車はどんどんと家に近づいている。

どうやら、印刷所は通り過ぎたらしいが先に送ってくれるらしい。