壊れたフィルムと時雨時


「野宮さん?」先生がぼーっとしている私を呼ぶ。
(いけない、集中しなくちゃ)慌てて私は夏目漱石のこころに意識を集中させた。

・・・数学は得意だが、どうにも私は現代文が苦手だ。あれ以来、人間が抱える感情に触れるのが怖くてどこか遠巻きに接してきたから、私にはわからないのだろう。

暗記力はあるのでテストには不自由したことはないけれど。

その後も授業終了まで未だ知らぬ不思議な三角関係に出来るだけ意識を添わせた。